東京家庭裁判所 昭和45年(家)7877号 審判 1970年8月17日
申立人 浜田美樹こと
美樹・デァイルス(仮名)
主文
申立人の名「美樹」を「グレース」に変更することを許可する。
理由
一 申立人は、主文と同旨の審判を求め、その事由として述べる要旨は、申立人は、昭和四五年八月一七日になされた東京家庭裁判所の養子縁組許可の審判(昭和四五年(家)第七、八七六号)を経て、トーマス・デァイルス・ジュニア、良子・デァイルス夫妻の養子となり、かつ、養子縁組後の姓もデァイルスを称することを許可されたものであるが、なお申立人が日本人としての名を称していることは、養親が今後申立人を監護養育していくのに著しい支障があるので、申立人の名をアメリカ人らしい名に変更したく、その許可を求めるため、本件申立に及んだ
というにある。
二 本件名の変更に関する準拠法については、日本国法例には規定がないが、当裁判所は、子の名の問題は、子の人格権に関する問題として、子自身の本国法によると解するのが妥当であると思料する。
三 日本国戸籍法第一〇七条第二項によれば、名を変更するには、正当な事由がなければならないが、申立人法定代理人両名に対する各審問の結果によれば、このまま申立人に日本人としての名をそのまま使用させることを強いるのは、養親の申立人に対する監護養育上著しい支障の生ずることが認められ、このことは、申立人の名を養親の希望する名「グレース」に変更する正当な事由に該るというべきである。
よつて、本件申立は、理由があるので、主文のとおり審判する次第である。
(家事審判官 沼辺愛一)